ゆめぴりか開発秘話
「やっかいどう米」から「最高峰」へ。
逆境の中で生まれた「ゆめぴりか」の熱いストーリー。
合言葉は「北海道から、ニッポンの米を」
今でこそ「日本の米どころ」となった北海道ですが、その道のりは苦難の連続でした。寒冷の気候が稲作に向いていない。なんとかできたお米もおいしくない。過去には他府県に劣る味から「やっかいどう米」と揶揄されることもありました。それでも、おいしいお米を作ることを諦めたくない。「北海道から日本一のお米を」という決意のもと、1997年、「ゆめぴりか」開発への挑戦が始まったのです。
10年かけて、1株を見つける。
開発の舞台となったのは北海道上川農業試験場。全道各地から研究者が集まり、品種開発がスタートしました。用意されたのは、およそ15万体もの交配した稲の検体。そのひとつひとつについて「食味」「収量」「耐冷性」について試験をし、優良なものを絞り込んでいきます。選ばれるのはたった1つ。厳しいサバイバルレースを勝ち残ったものだけが、品種としてデビューできるのです。その1つを見つけるために要した期間は、なんと10年。それはそれは気の遠くなるような、地道な作業でした。
一度は落第。でも諦めきれず。
地道に研究を重ね、ついに抜群の食味を持つ検体を見つけます。それは耐冷性にも優れ、理想としているお米に近いものでした。「これはいけるかもしれない」そう思ったのもつかの間、「収量」の観点でなんと落第してしまいます。やっとの思いで見つけた理想のお米。捨てがたいほどのおいしさを持つお米。落第でも、諦められない。そう思った研究員は、その種子を絶やさぬよう育て続けました。この決断が、今の北海道米の歴史を大きく変えることになるのです。
再挑戦のチャンス。そしてデビューへ。
それから数年後、再びチャンスが訪れます。食味の最高位「特A」級の品種開発の要請です。研究員たちは、大事に保存していた「ゆめぴりか」の再試験へ挑みます。すると見事合格を果たします。その後も何度も検証を重ね、晴れて「上育453号」、のちの「ゆめぴりか」となる品種が誕生したのです。
そして、2010年に満を持して「ゆめぴりか」はデビュー。その名は瞬く間に全国へ広がりました。今までの北海道米を超える、ひと味違うおいしさに注目が集まり、その人気を不動のものにしたのです。
およそ10年に及ぶ、長い長い品種開発の道のり。支えたのは、「北海道から日本一のお米を」という熱い思いと、「ゆめぴりか」の圧倒的なおいしさでした。北海道米の最高峰「ゆめぴりか」は、これからも北海道米ブランドの希望です。